平和の主人 血統の主人

まさに、成約時代の毒麦となられたお母様

《 黙示録18章 3-10 節 》

3 地の王たち(幹部たち)は彼女(お母様)と姦淫を行い、地上の商人たち(教会長たち)は、彼女の(高額献金を得た)極度のぜいたくによって富を得た。

7 彼女(お母様)は心の中で『わたしは女王の位についている者であって、やもめではないのだから、悲しみを知らない』と言っている。

10  彼女(お母様)の苦しみに恐れをいだき、遠くに立って言うであろう、『ああ、わざわいだ、大いなる都、不落の都、バビロンは、わざわいだ。おまえ(お母様)に対するさばきは、一瞬にしてきた。

第六章 (54)銃剣を収めて真の愛で  P.276  (世界平和を愛する世界人として  文鮮明自叙伝)


世界平和を愛する世界人として  文鮮明自叙伝
  第六章 愛は統一を導く ――― 冷戦終焉・宗教融和



(54)銃剣を収めて真の愛で  P.276


 韓民族を分けているのは休戦ラインだけではありません。嶺南(ヨンナム)(慶尚南北道)と湖南(ホナム)(全羅南北道)も、見えない線で分かれています。また、日本に住む韓国・朝鮮人は、民団(在日本大韓民国民団)と朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)に分かれています。民団と朝鮮総連を対立させている理由は、父母が決めた故郷が違うからです。ところが、その故郷がどこなのか、行ったこともない二世、三世まで、父母が引いた線の中に身をすくめて生きています。民団と朝鮮総連に分かれてお互いに言葉も交わさず、学校も違う所に通い、結婚もしません。


 二〇〇五年、私は嶺南(ヨンナム)・湖南(ホナム)の人々と在日韓国・朝鮮人を一つにするために、それまで計画してきたことを実行に移しました。民団から千人、朝鮮総連から千人の同胞をソウルに招待し、嶺南の千人および湖南の千人と姉妹血縁をするようにしました。日本で民団と朝鮮総連の人々が一箇所に集まって南北の平和統一を論議するのはまず不可能です。困難なことをやり遂げた分、嶺南と湖南、民団と朝鮮総連の人々が一箇所に座り、互いに抱擁する光景は、それこそ感激もひとしおでした。その時、ソウルを初めて訪れた朝鮮総連の幹部は、亡くなった父の故郷がどこなのかもはっきり分からないまま、冷戦構造の代理戦争をして生きてきた歳月が本当に残念だと語って、座り込んで激しく泣きました。それまで無為に分断線を引いて生きてきたことが、限りなく恥ずかしいとも言いました。


 朝鮮半島の分断と対立を正しく理解しようとすれば、過去と現在と未来をまとめて見つめることができなければなりません。すべての事件には根があるものです。朝鮮半島の分断は、善と悪が真っ向から争う善悪闘争の歴史が作り出したものです。朝鮮戦争が起きると、北朝鮮を助けるためにソ連と中国をはじめとする共産圏国家が総動員されました。韓国も同様です。アメリカをはじめとして十六カ国から軍隊を派遣し、医療班を派遣した国が五カ国、戦争物質を支援してくれた国が二十カ国にもなります。同一民族どうしの争いに、これほど多くの国が動員された戦争は他に類例がありません。韓国という小さな国で起きた戦争に、全世界人類が深く関与したのは、朝鮮戦争が共産主義勢力と自由主義勢力の代理戦争だったからです。ある意味では、韓国が世界を代表して善と悪の闘争を熾烈(しれつ)に繰り広げたのです。


 アメリカで日刊紙「ワシントン・タイムズ」を創刊してから十年目の一九九二年、アレクサンダー・ヘイグ元米国務長官が記念式典に出席し、祝辞を述べる中で、意外な話を披露しました。


「私は朝鮮戦争に従軍して数々の戦闘に加わりました。指揮官だった私は興南(フンナム)攻撃を任され、命がけの猛攻撃を繰り広げました。文総裁が共産党に捕まって興南監獄におられ、その日の攻撃で解放されたという話を聞いて、感慨無量でした。おそらく、文総裁を救うために私がそこに行ったようです。今は反対に、文総裁がアメリカを救おうとここに来ておられます。『ワシントン・タイムズ』は、左派言論が世論を主導するワシントンDCにあって、バランスの取れた歴史観を持ち、これから行くべき方法を知らせてくれ、アメリカ人の生命を救う新聞です。今回も確認したように、歴史に偶然というものは存在しないのです」


 一時、韓国社会では、朝鮮戦争の時に国連軍を総指揮していたマッカーサー将軍の銅像を撤去しようという主張がありました。もし国連軍が参戦しなければ、南北が今のように分断されていなかったというのがその趣旨でした。私はその話を聞いて、本当に驚きました。そのような主張は、北朝鮮の共産党(朝鮮労働党)の立場でのみできるものです。


 この様に世界的な犠牲を払ったにもかかわらず、いまだに朝鮮半島の統一は訪れていません。その日がいつ訪れるか分かりませんが、私たちはすでに統一に向かって力強く踏み出しているという事実だけは明白です。統一に向かって行く道には、たくさんの障壁があります。幾重にも折り重なった障壁を一つ一つ崩していかなければなりません。長い時間がかかり、苦労が多くても、鴨緑江(アムノッカン)を泳いで渡っていく精神で耐え抜けば、統一は必ず訪れます。


 一九八九年末、東ヨーロッパの国々の中で最後まで持ちこたえていたルーマニアの共産政権が、流血の民衆蜂起(ほうき)によって打倒されました。政権が崩壊した直後、二十四年間ルーマニアを統治していたニコライ・チャウチェスクは、彼の妻と共に処刑されました。彼は自分の政策に反対する者たちを無残に虐殺した残忍な独裁者でした。どの国でも、独裁がだんだんと強化されていく理由の一つは、政権を失うと命まで危なくなるという恐怖心です。自分の命が守られるという確信さえあれば、独裁の崩壊がどういう過程を辿(たど)るにせよ、あそこまで袋小路に向かって突き進んでいくことはないでしょう。


 朝鮮半島でも、どういう方式かは分かりませんが、いずれ遠くない未来に統一を達成するでしょう。したがって、政治家は政治家なりに、経済人は経済人なりに、統一韓国を備える様々な準備をしなければなりません。私はやはり宗教者として、北朝鮮の人たちを愛で抱きかかえ、共に平和を分かち合うことのできる統一韓国を迎えるための準備をおろそかにしないでしょう。


 私はドイツの統一について長い間研究してきました。一発の銃弾も撃たず、一滴の血も流さずに統一できた理由に関して、当時、統一を主導していた人たちの経験を聞き、私たちに適合する方法を探したのです。その結果、ドイツが平和統一できたのは、東ドイツの権力者に「統一されても命の危険はない」という信頼を植え付けたことが大きな要因だった事実が分かりました。命が保証されていなければ、東ドイツの為政者があれほど簡単に統一の門を開くことはなかったでしょう。


 同じように、私は北朝鮮の為政者にも、そうした信頼感を与えなければならないと考えました。以前、日本で出版された北朝鮮を題材にした小説に、チャウチェスクが処刑される映像を数十回見ながら、「われわれが政権を失えばあのようになる。絶対に政権を失ってはならない」と絶叫する為政者たちの姿が描かれていました。もちろん、日本の小説家の創造ですが、彼らの現実的な悩みに耳を傾け、それを解決してあげてこそ、早く統一が訪れるのです。


 朝鮮半島に平和世界を構築することは意外に簡単です。韓国が完全に北朝鮮のために生きるとき、北朝鮮は戦争を仕掛けることなく、朝鮮半島には自然に平和が訪れすのです。親不孝な子供を感動させられる力は、拳(こぶし)でもなく、権力でもなく、心から湧き上がる愛の力です。北朝鮮に米をあげたり、肥料を送ったりすることよりも、愛を与えることのほうが大切です。愛する心で、誠を尽くして、北朝鮮を思って為に生きるときこそ、北朝鮮の心を開くという事実を忘れてはいけません。


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