第四章 (31)世界を感動させた素晴らしい踊りの力 P161 (世界平和を愛する世界人として 文鮮明自叙伝)
世界平和を愛する世界人として 文鮮明自叙伝
第四章 私たちの舞台が世界である理由・・・アメリカへ雄飛
(31)世界を感動させた素晴らしい踊りの力 P161
私たちの教会は裕福な教会ではありません。満足に食べることもできない者たちが集まって始めた貧しい教会です。ですから、他の教会のようにまっすぐに聳(そび)え立つ教会堂もありませんでした。よその人が米のご飯を食べているとき、麦のご飯を食べながら一銭、二銭と節約して集めたお金を、私たちよりもっと貧しい人たちに施しました。伝道師は、セメント剥(む)き出しの冷たい部屋で、火も焚(た)かないまま毛布を敷いて暮らします。食事どきになると、ジャガイモをいくつか焼いて食べ、飢えをしのぐのが普通でした。どんなときでも、自分たちのためには一銭も使わないように努力しました。
一九六三年のことです。そうやって集めたお金で、十七人の子供たちを選んで、「仙和(ソンファ)児童舞踊団」(後に「リトルエンジェルス」と呼ばれる)を創設しました。当時、韓国の文化的土壌は悲惨なものでした。私たちが見て楽しむものはもちろんのこと、人に見せられるうなものもありません。人々は韓国の踊りとはどんなものか、五千年続い韓国の文化とはどういうものかを全部忘れて、ただただその日一日を生きることにあくせくしていました。
私の計画は、十七人の子供たちに韓国の踊りを教え、世界に送り出すことでした。韓国と言えば、戦争と貧困ばかりを思い浮かべる外国人に、大韓民国の美しい踊りを見せて、韓民族が優れた文化を持つ民族だと知らせようと考えたのです。私たちはいくら五千年の歴史を持つ文化民族だと主張したところで、彼らの前に見せるものがなければ、信じてくれるはずがありません。
美しい韓服を着て軽やかに回っていく韓国の踊りは、足を出して飛び跳ねる踊りに慣れた西洋人の目に新鮮な衝撃として映るに違いない優れた文化遺産です。私たちの踊りには、韓民族の悲哀の歴史が余すことなく込められています。押さえつけられた頭を俯(うつむ)かせ、目につかないようにひっそりと動く踊りは、恨(ハン)の多い五千年の歳月を生きてきた私たちの民族だけが作り上げることができる仕種です。
白い朝鮮足袋(たび)の足を一歩踏み出し、顔をさっと回して白い手を上げる姿を見ると、心がすっかり奪われます。力強い声でたくさん話して相手を感動させるのではありません。その見え隠れするような一つの踊りが人の心を動かします。それこそが芸術の力です。言葉を語らずとも言葉が通じ、彼らが生きてきた歴史を知らなくても、自然とその心が分かるようにする力が芸術にはあるのです。
しかも、子供たちの汚れのない表情と明るい笑顔は、戦争を経た国の暗いイメージを一度に洗い流してしまいます。私は、二十世紀最高の文明国アメリカに行き、五千年の歴史を持つ韓国の踊りを初公開するつもりで舞踊団を創設しました。ところが、世の中は再び私たちに向かって非難の声を浴びせました。リトルエンジェルスの踊りがどのようなものなのか、見る前に非難したのです。
「統一教会の女たちは昼夜なく踊り踊って、しまいには踊る娘らを生んだ」という呆(あき)れてものも言えないような悪口を浴びせました。しかし、私はどのような噂(うわさ)にも動じませんでした。リトルエンジェルスを通して、韓国の踊りはこういうものだと世人の目を開かせる自信がありました。私たちに向かって「裸踊りをしている」と悪罵(あくば)を投げつける人たちに、朝鮮足袋でひらりひらりと走り出す美しい踊りを見せてやりたいと思いました。体をねじるでたらめな踊りではなく、全身を韓服で包み、つつましく踊る本当の踊りのことです。